私たちの活動の目的は、街に新しいアートの種をまくところにあります。
かつて芸術表現は、難解で一部の人だけが嗜(たしな)むもの、というように思われていました。しかし現代社会においては、時代の閉塞感を飛び越える柔軟なメディアのとしての使命が託されています。
ただ、多様な芸術文化に触れる機会の少ない地方都市において、その近寄りがたいイメージは未だに健在です。中でも現代アートは、作品の内容が現代の社会問題と密接にかかわっているため、従来の芸術のあり方から外れる部分も多く、益々難解と思われがちです。
そこで私たちは当地島根において、美術館などのハコモノに閉じこもっている創作表現を“まち”へ解き放つ活動に取り組むことにしました。
地域の中で見過ごされがちな魅力的な空間を見出し、その潜在能力を引き出すようなアートイベントを企画、そこに住む人々と共に様々なプログラムを展開してきました。鑑賞者との距離感や、プレゼンテーション、展示方法など、作家はすべての作業に責任を持つことで、そのプロセス自体を表現として位置づけているのです。
私たちは、この創作表現活動の全容をお見せすることを通して、多様なアートへの理解を促すとともに自分たちの活動の基盤を広げ、地域の芸術文化の振興発展を目指して活動を展開しています。
どこでもミュージアム研究所 代表 高嶋 敏展